2016年12月23日金曜日

三沢~大阪の交通手段比較

来年の2月に大阪で大学時代の友人同士で集まることとなった。
青森県三沢市に住む私からすると随分な遠征となるので、少しでもカネを浮かせたい。
一方、天候が悪い季節でもあるので確実に辿り着けるようにしたい。
思い付いた交通手段をまとめてみた。

1.三沢空港から伊丹空港へ(JAL)
  所要時間:フライト1時間30分
  運賃:20,000円~26,000円程度

2.青森空港から伊丹空港へ(ANA、JAL)
  所要時間:三沢⇒青森空港1時間30分、フライト1時間30分
  運賃:15,000円~25,000円程度

3.青森空港から名古屋空港へ(FDA)、名古屋から難波へ(近鉄)
  所要時間:三沢⇒青森空港1時間30分、フライト1時間20分、近鉄特急2時間30分
  運賃:合計13,500円~33,500円
  <10,000円~32,000円(フライト)、3,500円程度(近鉄特急(金券ショップ))>

4.三沢から仙台へ(新幹線)、仙台空港から関空へ(Peach)
  所要時間:三沢⇒仙台2時間、フライト1時間30分
  運賃:合計18,000円程度
  <10,000円(新幹線)、8,000円程度(フライト)>

5.三沢から仙台へ(新幹線)、仙台から大阪へ(夜行バス)
  所要時間:三沢⇒仙台2時間、仙台⇒大阪13時間
  運賃:合計18,000円程度
  <10,000円(新幹線)、8,000円程度(夜行バス)>

6.三沢から東京へ(新幹線)、東京から大阪へ(夜行バス)
  所要時間:三沢⇒東京4時間、東京⇒大阪7時間
  運賃:合計20,000円~25,000円
  <15,000円(新幹線)、夜行バス5,000円~10,000円>

7.三沢から東京へ(夜行バス)、東京から大阪へ(新幹線)
  所要時間:三沢⇒東京9時間、東京⇒大阪2時間30分
  運賃:合計25,000円
  <10,000円(夜行バス)、新幹線(15,000円)>

2016年9月22日木曜日

重たい使命を背負わされた悲運の3ケタ県道―青森県道257号線みちのく有料道路




 岩手県では東京盛岡間の東北新幹線が着工し(1971年)、しょっぱい川を挟んだ北海道では札幌冬季五輪が開催され(1972年)た昭和の安定成長期。青森県の青森市と八戸市・十和田市などの南部地方を結ぶ道路は、陸奥湾沿いに走るメインルート「国道4号線」と、八甲田山中を横断する山岳路「国道102号・103号線」に限られていた。「国道4号線」ルートは奥羽街道とほぼ一致し、地形的難所を回避した平易なルートとなっている。津軽と南部の間に聳える八甲田山を迂回しているため、八戸・十和田方面と青森方面を直線距離では結んでおらず、地図上の距離以上に移動時間が掛かる。「国道102号・103号線」ルートは八甲田山の傘松峠(1040m)・酸ヶ湯温泉・猿倉温泉・谷地温泉・蔦温泉を通過する山岳路で、アップダウンが非常に激しく、また冬季は傘松峠の前後が通行ができない。

 そんな道路事情を改善させる一大事業を青森県が主導して行なわれた。県道257号線、道路名「みちのく有料道路」の建設である。1976年に起工し、1980年に開通を見た。国道4号線が陸奥湾沿いに迂回している青森市~七戸町を長大トンネルでショートカットし、国道4号線より距離にして15km、時間にして25分(青森県道路公社Q&Aより)短縮させることに成功した。

 しかし、2016年現在に至るまで、青森市と南部地方の移動はみちのく有料道路がメインルートの役割を果たせておらず、依然として国道4号線利用が多い印象を受ける(通行量のデータが見つからないため、周囲の話や走行した実感に留まる)。私自身もよほど財布に余裕のある時でなければ、国道4号線で移動する。理由は明確で、有料区間21kmの通行料金が850円と高額であること、全線60キロ制限で線形が悪く60キロでも走行が厳しい区間があることの2点が挙げられるだろう。夜間に限っては国道4号線経由でもほぼノンストップで走行できるので、みちのく有料道路を通過するメリットがあまり実感できない。

八戸道から百石道路、第二みちのく有料道路、上北道(一部未開通)と続いてみちのく有料道路に至る、北東北の東回りルートとして重要な使命の一端を背負うも、所詮は青森県道257号線である3ケタ県道のみちのく有料道路。国道4号線に代わるメインルートとなるには少々荷が重たいのかもしれない。

参考リンク
青森県道路公社>みちのく有料道路

2016年5月2日月曜日

仙台発着の東北都市間連絡バスまとめ


青森県
〇ブルーシティー号(宮交・十鉄・弘南・JR)―青森市
  4往復・4時間50分・片道6,000円
〇キャッスル号(宮交・JR・弘南)―弘前市
  6往復・4時間20分・片道5,400円
〇うみねこ号(JR・南部・十鉄)―八戸市
  3往復・4時間25分・片道4,900円

秋田県
〇仙秋号(秋田中央・JR・宮交)―秋田市
  10往復・3時間35分・片道4,100円
〇大館仙台号(秋北)―大館市・鹿角市
  2往復・5時間・片道5,140円
〇グリーンライナー号(羽後・JR)―湯沢市・横手市・大仙市
  4往復・3時間25分・片道3,880円(湯沢発着)3時間35分・片道4,020円(大曲発着)
〇本荘仙台線(羽後・庄内)―由利本荘市・にかほ市・酒田市・鶴岡市
  3往復・4時間48分・片道4,100円

岩手県
〇アーバン号(岩手県・県北・JR・宮交)―盛岡市
  平日15往復、土休日20往復・2時間37分・片道2,980円
〇仙台大船渡線(岩手県・宮交)―大船渡市・陸前高田市・気仙沼市・一関市
  3往復・3時間59分・片道2,500円
〇釜石仙台線(岩手県)―釜石市・遠野市
  1往復・4時間55分・片道3,290円
〇江刺仙台線(岩手県・JR)―奥州市
  4往復・2時間10分・2,300円
〇けんじライナー(岩手県)―花巻市・北上市
  3往復・2時間32分・片道2,600円
〇一ノ関仙台線(東日本・岩手急行)―一関市
  19往復・1時間19分・片道1,500円
〇仙台平泉線(季節運行)(東日本)―平泉町・一関市
  3往復・1時間40分・片道1,700円

宮城県
〇仙台気仙沼線(千厩経由)(ミヤコー)―気仙沼市・一関市
  2往復・2時間31分・片道2,000円
〇仙台気仙沼線(南三陸経由)(ミヤコー)―気仙沼市・南三陸町
  3往復・2時間56分・片道2,000円
〇仙台石巻線(ミヤコー)―石巻市・東松島市・女川町
  平日28往復、土休日26往復(矢本経由2往復、女川発着1往復)・1時間14分(石巻駅~仙台駅)・片道800円
〇仙台栗駒線(ミヤコー)―栗原市(栗駒・築館)
  2往復・1時間30分・片道1,700円
〇仙台一迫線(東日本)―栗原市(一迫・築館)
  5往復・1時間10分・片道1,500円
〇仙台金成線(東日本)―栗原市(金成・志波姫・築館)
  10往復(仙台築館無停車6.5往復、八乙女駅経由3.5往復)・1時間25分(無停車)、1時間32分(八乙女経由)・片道1,700円
〇仙台佐沼線(ミヤコー・東日本)―登米市(迫・若柳)
  16往復・ 1時間36分・片道1,400円
〇仙台とよま線(東日本)―登米市(登米)・石巻市(河北)
  5往復・1時間37分・片道1,200円
〇仙台鳴子線(ミヤコー)―大崎市(鳴子・岩出山・古川)
  2往復・1時間25分・片道1,300円
〇仙台古川線(八乙女駅経由)(ミヤコー)―大崎市(古川)
  平日12往復、土休日6.5往復・1時間19分・片道900円
〇仙台古川線(仙台古川無停車)(JR)―大崎市(古川)
  平日31往復、土休日25往復・55分・片道1,000円
〇仙台加美線(ミヤコー)―加美町・色麻町・大衡村
  平日6往復、土休日4往復・1時間26分・片道1,200円
〇仙台大衡線(ミヤコー)―大衡村
  平日10往復、土休日8往復・51分・片道900円
〇仙台村田蔵王線(ミヤコー)―蔵王町・村田町
  10往復・1時間12分・片道1,230円
〇仙台川崎町線(ミヤコー)―川崎町・村田町
  2往復・1時間12分・片道1,030円

山形県
〇仙台山形線(宮交・山交)―山形市
  平日80往復、土休日66往復・1時間16分・片道930円
〇仙台上山線(宮交・山交)―山形市・上山市
  平日8往復、土休日6往復・1時間38分・片道1,130円
〇仙台山形蔵王線(山交)―山形市
  1往復・1時間40分・片道1,000円
〇仙台寒河江線(山交)―(国道48号経由)寒河江市・天童市
  5往復・1時間40分・片道1,520円
〇仙台新庄線(山交)―(国道48号経由)新庄市・舟形町・尾花沢市・村山市・東根市
  9往復・2時間18分・片道2,000円
〇仙台酒田線(山交)―酒田市・鶴岡市
  10往復・3時間35分・片道3,200円
〇仙台米沢線(JR・山交)―米沢市
  6往復・2時間16分・片道1,960円

福島県
〇仙台福島線(JR・宮交・福交)―福島市
  平日28往復、土休日29往復・1時間10分・片道1,100円
〇仙台郡山須賀川線(宮交・福交)―須賀川市・郡山市・二本松市
  平日13往復・2時間・片道2,200円(郡山発着)、平日2往復、土休日3往復・2時間30分・片道2,400円(郡山経由須賀川発着)
〇仙台新地相馬線(宮交・福交)―新地町・相馬市
  12往復・1時間28分・片道1,100円
〇仙台いわき線(JR・新常磐)―いわき市・田村市
  7往復・3時間25分・片道2,700円
〇仙台会津若松線(JR・会津)―会津若松市
  8往復・2時間35分・片道2,900円
〇仙台南相馬線(東北アクセス)―南相馬市・相馬市・新地町・山元町
  4往復・1時間40分・片道1,500円(特急(南相馬仙台無停車)、8往復・2時間15分・片道1,300円(相馬新地山元経由)

新潟県
〇WEライナー(JR・新交)―新潟市
  8往復・4時間20分・片道4,100~4,900円(日により変更)

2016年4月20日水曜日

北東北鉱山巡り計画

 2016年のゴールデンウィークは暦上では最大3連休のみで、遠出をするには身動きが取りにくい。職場の休暇取り合い戦争に敗れてしまったので、おとなしく近場で過ごす事にしようと思う。個人的には、冬が明けて雪が解けたら山に行きたいと思っていた。連休のどこかで軽いハイキングに行こうと考えているが、合わせて鉱山ないしは鉱山跡巡りを敢行したい。北東北は鉱山の宝庫である。以前に北東北最大級の小坂鉱山跡の資料館を見学したことがある。最盛期には秋田市に劣らない程の繁栄を誇ったかつての小坂町の姿を追憶させられた。
 
1.田老鉱山跡(岩手県宮古市(旧田老町))
 起伏の激しい三陸海岸の山あいに位置する、かつて硫化鉱を産出した鉱山である。沖縄県の沖大東島を起源とするラサ工業が1919年から1971年にかけて経営していた。選鉱所跡が現在でも綺麗に残るとして廃墟マニアでは知られた存在である。2000人規模の鉱山町が築かれていたようである。

田老鉱山
(写真はhttp://cutlass.qee.jp/hikyo/12/12.htmlより)

2.上北鉱山跡(青森県七戸町(旧天間林村))
 硫化鉄と銅を産出した鉱山で、青森と七戸を結ぶ国道4号線の短絡路「みちのく有料道路」の山側に位置する。1940年から1973年の33年の短い操業期間であるが、戦中戦後の時期に豊富な銅の産出量があったことから「神風鉱山」と称された。こちらは最盛期に5000人程度の人口を抱えていた。進入路は国道4号線の七戸側と八甲田の田代平湿原側があり、八甲田のトレッキングとセットで訪れるのも良いかもしれない。ちなみに、冬は日本有数の豪雪地帯となり、深く閉ざされる。



上北鉱山
(写真はhttp://haikyo.crap.jp/s/283.htmlより)

3.松尾鉱山跡(岩手県八幡平市(旧松尾村))
 北東北の鉱山を語る上で、「東洋一の硫黄鉱山」として名を馳せた松尾鉱山を忘れてはいけない。廃鉱山ブームと火付け役とも言える存在で、1万人規模で大規模団地が形成された全盛期は鉱山町というよりは鉱山都市と呼ぶ方がふさわしいだろう。閉山した現在でも八幡平のメイン道路であるアスピーテラインから容易にアクセスできる。八幡平のハイキングと合わせて訪れたい鉱山跡である。

(写真はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B0%BE%E9%89%B1%E5%B1%B1より)

4.尾去沢鉱山跡(秋田県鹿角市)
 奈良時代から銅鉱床の存在が知られていたとの文献が残るほど歴史のある鉱山である。 なんと東大寺の大仏に尾去沢の金が使われたとの説もある。資料館や見学用の坑道が整備され、観光地化されている点が上の3鉱山とは異なる。鹿角地域では尾去沢鉱山跡、小坂鉱山跡、大湯環状列石、十和田湖が観光の目玉である。松尾鉱山跡から八幡平を越えた先にあり、一緒に訪問したい。仕事仲間が大館にいたために、秋田県北には足繁く通ったが、尾去沢鉱山跡はノータッチであった。

(画像はhttp://www.osarizawa.jp/より)

5.八戸鉱山(青森県八戸市)
 日鉄鉱業系の八戸鉱山株式会社が現在も操業を続けている現役の鉱山である。石灰石は日本が唯一自給し ているとも言える鉱物であり、今日も北海道から沖縄まで至る所でガリガリと採掘が行なわれている。そんな石灰石鉱山のなかでも八戸鉱山は「日本一」を有す る鉱山として、ある方面では有名である。露天掘りで石灰石を掘り進めていった結果、「日本一標高が低い地上の地点」となってしまった。最深部の標高は-約 170m。日本一星が遠く見える場所と言えば少しはロマンチックに聞こえるかもしれない。
うわーーーー!!!!【より大きな画像はこちら】
(写真はhttp://portal.nifty.com/kiji/111021149088_1.htmより)




2016年2月27日土曜日

国勢調査から見えた市町村の人口減少の特徴

 平成27年国勢調査の速報値が総務省より発表された。今回の国勢調査では人口減少社会に突入したことが鮮明になった面が重要であるが、東日本大震災後初めての国勢調査であることも押さえておきたい。本記事では市町村の人口減少に的を絞って見てみたい。
人口減少数(平成22年→平成27年)
1位   福島県浪江町(-20,905人(全域避難))
2位   福島県富岡町(-16,001人(全域避難))
3位   北九州市(-15,031人)
4位   長崎市(-14,122人)
5位   石巻市(-13,590人)
6位   南相馬市(-13,145人(一部避難))
7位   函館市(-13,010人)
8位   下関市(-12,330人)
(東京都足立区 -12,318人)
9位   青森市(-11,898人)
10位 横須賀市(-11,639人)
11位 福島県大熊町(-11,515人(全域避難))
12位 呉市(-11,338人)
13位 静岡市(-10,959人)
(大阪市西成区 -10,034人)
14位 小樽市(-10,018人)
(静岡市清水区 -8,692人)
15位 気仙沼市(-8,572人)
16位 今治市(-8,347人)
17位 秋田市(-8,226人)
18位 日立市(-7,980人)
19位 門真市(-7,474人)
20位 長岡市(-7,428人) 
 まずは東日本大震災に関わる市町村を見てみたい。
 福島第一原子力発電所事故で全域避難が実施されている浪江町、富岡町、大熊町と、ランク外であるが双葉町の4町が人口0人となった。なお、葛尾村と飯舘村も避難指示が解除されていないのだが、それぞれ18人、41人の人口が記録されている。平成27年10月時点では帰還が果たされていないが、近い将来に避難指示が解除される見込みの地域であり、一時帰宅が盛んなことで、葛尾村民、飯舘村民としての意識が強い方数人が回答した結果だろう。南相馬市の人口減少数は避難区域に指定されている南相馬市小高区(旧小高町)の人口にほぼ匹敵している。小高区の避難者は市内の非避難区域ではなく、市外に流出する傾向があると読める。当然、放射線の影響を回避するために、非避難区域からでも市外へ転居する人も多くいるだろう。相双地区の中心都市である南相馬市でも1万人単位で人口流出しているとは驚くべき事態である。
 石巻市と気仙沼市も震災の影響を強く受けていると思われる。居住地が被災したのに加え、大都市である仙台に比較的近いことから人口が流出したのだろう。また、基幹産業の水産業のダメージがやはり大きい。河北新報の記事によると、市内沿岸部の旧雄勝町、旧北上町、旧牡鹿町域で人口減少が顕著である一方、高台にある蛇田地区や旧河南町域で人口増加が見られるとのことである。石巻も気仙沼も市中心部が被災し、周辺地域の被災民の受け皿になり得なかったと人口移動から見てとれる。集団移転先が整備された後の国勢調査となろう平成32年の人口はどのようになるのか。
 政令指定都市の北九州市は昭和55年(1980年)から人口減少が止まらない。北九州工業地域として太平洋ベルトの一翼を担った輝かしい姿はもう教科書の中でのおとぎ話のようである。北九州市と同じく鉱工業が盛んであった長崎市も人口減少数が多い。大型工場の省力化により、就業人口の受け皿が減っているのが明らかである。一方、九州第一の都市である福岡市は約7万人増で市町村単位でトップの増加数である。九州全土から福岡市への急激な吸い上げが見てとれる。なお、長崎市と同規模の熊本市、大分市はともに5千人程度の微増を記録している。
 下関市、呉市、今治市はともに造船業が立地する都市である。中国、韓国の台頭により国内造船業界が斜陽化してることが人口減少とも関係していそうである。
 下関市、横須賀市、呉市、小樽市は港湾中心に発展した都市であるが、山がちな地形で可住地面積が小さい。新規宅地開発が難しいこれらの都市では、若年層の人口が流出し、高齢化の進展とともに自然減も重なって、人口減少数が多くなるのである。
 ワースト20にランクインしている北九州市と下関市、青森市と函館市はそれぞれ関門海峡、津軽海峡を挟んで向かい合っているツインシティ(双子都市)である。前者は通勤通学が可能であるほど近接しており交流が盛んであるが、福岡市の強い吸引力に飲み込まれて衰退している。後者は近隣に大都市を持たないが、札幌、仙台、東京の大都市圏に人口流出していると思われる。函館市、青森市ともに隣接市町村が軒並み人口減少しているため、郊外に移動しているわけでもない。なお、函館市は総務省が指定する「過疎地域市町村」のなかで人口規模が一番大きい自治体である。北海道新幹線開業という、またとない一大イベントを起爆剤にして、両市の人口・産業を上向かせられればと思うが、なかなか難しいだろう。
 ランキング内に括弧で入れた東京都足立区と大阪市西成区の人口減少もなかなか興味深い。イメージ先行になるが、住宅地として魅力がない両区では都市部であっても人が寄り付かなくなっていると言えよう。ある意味では、過疎地域より人口問題の面では解決が難しいかもしれない。
人口減少率(平成22年→平成27年)
1位   福島県浪江町、富岡町、大熊町、双葉町(-100%(全域避難))  
5位   福島県飯舘村(-99.3%(全域避難))
6位   福島県葛尾村(-98.8%(全域避難))
7位   福島県楢葉町(-87.3%(平成27年9月に避難指示解除))
8位   宮城県女川町(-37.0%)
9位   宮城県南三陸町(-29.0%)
10位 福島県川内村(-28.3%(平成26年10月に避難指示解除))
11位 宮城県山元町(-26.3%)
12位 奈良県上北山村(-25.3%)
13位 岩手県大槌町(-23.2%)
14位 奈良県黒滝村(-22.0%)
15位 福島県広野町(-20.2%)
16位 青森県風間浦村(-19.73%)
17位 奈良県川上村(-19.66%)
18位 奈良県下市町(-19.3%)
19位 夕張市(-19.0%)
20位 高知県馬路村(-18.9%) 
 減少率でもやはり東日本大震災の影響が濃く出ている。上位の6町村は前述した通りである。川内村は原子力事故により一時全村避難が行われたが、現在では約7割の村民が帰還しているというのは特記すべきであろう。その他、減少数では少ないものの減少率のランキングで浮き上がってきたのが、津波被災地の人口減少である。ランキングでは女川町、南三陸町、山元町、大槌町が該当する。東日本大震災による死者・行方不明者を平成22年国勢調査人口と比べると、女川町では8.68%、南三陸町では4.78%、山元町では4.29%、大槌町では8.37%となっており、いずれも被災地のなかでも極めて高い値になっている(その他で山元町を超えるのは陸前高田市7.76%、山田町4.48%のみ)。約8%もの町民が死亡・行方不明となるだけでも大きなインパクトになるが、合わせて住宅被害や生業の喪失も重なり、大幅な人口減に繋がったのだろう。
(東日本大震災における死者・行方不明者数及びその率(県別および市町村別)参照)
 上位11位まで東北地方で占めているが、それ以下20位までは奈良県が目立つ。上北山村、黒滝村、川上村、下市町はいずれも奈良県南部の紀伊山地に位置する。林業主体の町村であり、林業の斜陽化と大阪大都市圏に近接していることが人口減に大きく作用していると思われる。東日本大震災の被災地並みの減少率とは驚かされる。
 高知県馬路村はゆずの生産で名を広く知られる村である。馬路村のポン酢やゆずドリンクは多くの国民が一度は目にしたことはあろう。中山間地域の振興事例としても名高い馬路村でも、5人に1人が5年の間に村から姿を消すとは、日本の過疎問題が如何に深刻かを思わせる。
 平成27年の国勢調査速報値から市町村の人口減少について思うところをつらつらと書いてきた。やはり、まずは東日本大震災の爪痕が強く印象付けられた。被災地で人が減ったと言葉では聞いていたが、いざ数字を見せられると事の重大さがより鮮明になる。また、重工業や林業を主幹産業としてきた地域では、産業の構造変化に追い付けず、ずるずると人口が流出している様を見ることができた。

2016年1月20日水曜日

東北の都市と河川対応一覧

 人間の生命活動がそうであるように、都市に水は欠かすことができない。都市・集落の形成は河川の存在抜きにありえない。人間活動と河川は切っても切れない縁なのである。今回は東北の諸都市を流れる河川について見ていきたい。一級河川水系が市中心部を流れる都市についてまとめたものを用意した。(赤太字は大都市雇用圏の中心都市、赤字は大都市雇用圏の構成都市)







 一覧を作ってみると、改めて河川あっての都市だと感じさせられる。特に東北地方一の大河川である北上川は岩手内陸から石巻へと続く都市群を、阿武隈川は福島県中通りから仙南地域を支えている姿が浮かび上がった。
 まず注目したいのは県庁所在地で唯一一級河川水系を持たない青森市についてである。青森は 江戸期の初めに置かれた港を軸として成立した町である。廃藩置県で現在の青森県が作られた際に、比較的発展していながらも県域の端にある弘前や八戸ではなく、県中央部に位置する地理の良さから青森に県庁が置かれることとなり、急速に発展したという歴史を持つ。城もなく商業の中心でもなかった青森は、明治期に人工的に造られた都市だと言えよう。大河川の流域でなくても、比較的広い平野(青森平野)に県庁という強い都市的成分を得た青森は、人口が流入して都市に成長したのである。なお、青森への県庁設置はその後現在に至るまで、青森、弘前、八戸の三権分立ならぬ三都市分立状態をもたらした。
 東北地方では仙台・新潟に次いで製造品出荷額の多いいわき市も一級河川水系を有していない。磐城平藩の城が置かれていたものの3万石程度の小藩で ある。豊富な資源量を誇った常磐炭田と戦後の工業化で大きく栄えた小名浜がいわき市の基礎を作り上げた新興都市と言えよう。
 八幡平市は安代町、西根町、松尾村の3町村を起源とする平成の大合併の賜物である。安代町荒沢地区が馬淵川水系、安代町田代地区が米代川水系、西根町と松尾村が北上川水系であり、一級河川水系で3つに分割される自治体はこのほかにないのではないかと思われる。なお、馬淵川と米代川・北上川はそれぞれ流れ出る先が日本海と太平洋であり、市内に大分水嶺が存在するのである。北東北の緩やかな地形が自治体区割りでも反映されているようである。