2016年9月22日木曜日

重たい使命を背負わされた悲運の3ケタ県道―青森県道257号線みちのく有料道路




 岩手県では東京盛岡間の東北新幹線が着工し(1971年)、しょっぱい川を挟んだ北海道では札幌冬季五輪が開催され(1972年)た昭和の安定成長期。青森県の青森市と八戸市・十和田市などの南部地方を結ぶ道路は、陸奥湾沿いに走るメインルート「国道4号線」と、八甲田山中を横断する山岳路「国道102号・103号線」に限られていた。「国道4号線」ルートは奥羽街道とほぼ一致し、地形的難所を回避した平易なルートとなっている。津軽と南部の間に聳える八甲田山を迂回しているため、八戸・十和田方面と青森方面を直線距離では結んでおらず、地図上の距離以上に移動時間が掛かる。「国道102号・103号線」ルートは八甲田山の傘松峠(1040m)・酸ヶ湯温泉・猿倉温泉・谷地温泉・蔦温泉を通過する山岳路で、アップダウンが非常に激しく、また冬季は傘松峠の前後が通行ができない。

 そんな道路事情を改善させる一大事業を青森県が主導して行なわれた。県道257号線、道路名「みちのく有料道路」の建設である。1976年に起工し、1980年に開通を見た。国道4号線が陸奥湾沿いに迂回している青森市~七戸町を長大トンネルでショートカットし、国道4号線より距離にして15km、時間にして25分(青森県道路公社Q&Aより)短縮させることに成功した。

 しかし、2016年現在に至るまで、青森市と南部地方の移動はみちのく有料道路がメインルートの役割を果たせておらず、依然として国道4号線利用が多い印象を受ける(通行量のデータが見つからないため、周囲の話や走行した実感に留まる)。私自身もよほど財布に余裕のある時でなければ、国道4号線で移動する。理由は明確で、有料区間21kmの通行料金が850円と高額であること、全線60キロ制限で線形が悪く60キロでも走行が厳しい区間があることの2点が挙げられるだろう。夜間に限っては国道4号線経由でもほぼノンストップで走行できるので、みちのく有料道路を通過するメリットがあまり実感できない。

八戸道から百石道路、第二みちのく有料道路、上北道(一部未開通)と続いてみちのく有料道路に至る、北東北の東回りルートとして重要な使命の一端を背負うも、所詮は青森県道257号線である3ケタ県道のみちのく有料道路。国道4号線に代わるメインルートとなるには少々荷が重たいのかもしれない。

参考リンク
青森県道路公社>みちのく有料道路